ヨーロッパの公共放送を探る【スペイン】

2022/11/3

概要

RTVE(スペイン放送協会)はスペインの国営放送です。受信料制度は存在せず、年間予算の約45%が中央政府の予算から支出されています。テレビ・ラジオ放送に加え、RTVE playと呼ばれるオンラインストリーミングサービスを展開しています。

受信料制度

受信料制度は存在しません。一方で、近年の累積赤字の拡大には国民からも厳しい目線が向けられているようです。新聞社などの報道では「納税者一人当たりの負担額が26ユーロにまで上昇した」といった論調が目立ちました。受信料という形での直接の負担は無いものの、運営資金の約45%が政府の予算から支出される以上、その使途や妥当性は議論の対象となるのでしょう。これまで人件費や制作費の削減といった対策が取られてきたものの、抜本的な改革には至っていないようです。

デジタルサービス

rtve.es
アプリの操作性は非常によく、どことなくNetflixを彷彿とさせるUIです。App Storeでの評価も 4.4と、BBC Sounds (iPlayerの後継アプリ) の4.8にやや劣る程度です。
いくつかの特徴があります。

キャッチアップ配信

過去の放送を再生することも可能です。サービス開始当初は、過去1週間分の録画しか提供されておらず、この点では現在のNHKプラスと同様です。

ライブ配信


映画・ドラマなど配信

300本以上の映画、ドラマが常に無料で視聴可能です。映画は、2020年のアカデミー賞最有力候補と言われた「1917」、ドラマは「シャーロック」や「アガサ・クリスティ」など海外の作品もいくつか配信されていますが、それ以外はスペインで制作された映画・ドラマが大半を占めています。
サッカーW杯や世界体操も、ライブ中継だけでなくストリーミング形式でも配信されています。
このように、NetflixあるいはDAZNといったサブスクリプション型のサービスと競合できるコンテンツを備えていますが、映画・ドラマに関してはラインナップ不足が否めないと感じました。スポーツは、放映権というテレビならではのアドバンテージを活用したものと言えるでしょう。

今後の展望

なお、ラテンアメリカ向けのチャンネルを2022年に立ち上げるという発表があったものの、CNNやFox Newsといったアメリカ合衆国の民間放送がすでにスペイン語放送を展開しており、競争力をどの程度担保できるのかは不透明と思われます。


Haruki Kinoshita

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